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相続人が多い・相続人と連絡が取れない場合の対処法

相続では、相続人全員の合意が得られないと遺産分割が進まず、次の手続きに進めません。連絡が取れない相続人がいる場合、手続き遅延につながることがあります。相続税申告には10か月という期限があるため、話し合いが進まない状態は大きなリスクです。本稿では、相続人が多い場合や連絡が取れない場合に、どのような準備と進め方が必要になるのかを整理します。

相続人が多いと手続きが止まる ― “全員の合意”が前提

遺産分割は相続人全員の合意が必要であり、誰か一人でも意見がまとまらないと協議が成立しません。

相続人が多ければ多いほど、

・財産の分け方
・不動産の扱い
・役割分担

について意見が分かれやすく、協議が難航します。特に不動産は分割できないため、誰が承継するか、どのように活用するかの調整に時間がかかります。さらに、相続税の申告期限は10か月です。


相続人間の話し合いが長引くと、

・申告が期限に間に合わない
・名義変更の調整が遅れる
・納税資金の準備ができない

といった問題につながります。

相続人が多い場合は、早い段階で「誰がどの役割を担うのか」を決めることが重要。役割の整理は、遺産分割協議の停滞を防ぐ第一歩です。

連絡が取れない相続人がいる場合 ― “調査”が手続きの出発点

「相続人の確定」や「戸籍収集」は、相続発生時に最初に行うべきことです。連絡が取れない相続人がいる場合でも、戸籍調査によって法的な相続人を確定することが出発点になります。

相続人が確定しないままでは、遺産分割協議を始めることができません。また、相続人の所在が不明な状態で申告期限が迫れば、他の相続人に過大な負担がかかる可能性があります。

・相続人の調査には時間がかかる
・早めの調査開始が相続手続きの“遅延防止”につながる
・戸籍の取り寄せだけでも想像以上に手間がかかる

などをあらかじめ知っておき、対策することで相続はスムーズになります。相続人が多数いる場合、遠方に住む人、疎遠になっている人も増えます。そのため、財産の見える化と同時に「家族の関係性の整理」を早めに行うことをおすすめします。

協議が進まないと10か月の期限に間に合わない

財産や相続人が整理されていない状態で相続が始まると、時間が足りなくなってしまうことがあります。

・全員の合意が得られず、協議が進まない
・不動産の扱いが決まらず、評価が完了しない
・名義変更の準備が遅れ、申告に必要な資料が揃わない
・納税資金の確保が後回しになる

こうした事態は、相続税の申告期限は伸ばすことができないため大きなリスクです。

そのために必要なのが、

・生前からの情報整理
・財産の見える化
・家族会議による価値観の共有

です。相続家族会議を開くことで

・お互いの立場
・将来の負担感
・財産の扱い

といった点を事前に話し合っておくことができます。相続人が多い場合ほど、早期の話し合いが相続開始後の混乱を防ぐ最大の対策です。

「財産の見える化」や「相続人の関係性の整理」「役割分担の決定」「家族会議での価値観共有」。これらの準備が整っていれば、相続人が多くても話し合いを効率的に進めることができ、10か月の申告期限に向けた手続きもスムーズになります。

相続は「人数が多いほど難しくなる」ものですが、生前からの整理と情報共有ができていれば、不安を最小限に抑えることができます。

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