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相続税の申告を税理士に依頼するメリットと費用相場

相続税の申告は、亡くなった日から10か月以内に行う必要があります。財産調査・書類整理・遺産分割協議などの工程が重なる中、限られた期間で正確な申告書を整えるのは簡単ではありません。本稿では、相続税申告を税理士に依頼するメリットと、費用を考える際の視点を整理します。

税理士に依頼するのは“10か月の壁”を乗り越えるため?

相続税申告は、発生から10か月以内に申告書を提出し、納税まで完了させる必要があります。この10か月という期間には、主に次のような作業が重なります。

・相続関係の確定(戸籍収集、相続人の整理)
・財産調査(預貯金・不動産・証券・負債などの把握)
・名義変更の準備
・遺産分割協議(相続人全員の合意が必要)
・納税資金の確保方法の検討

財産調査と不動産調査には想像以上の時間がかかることがありますし、状況によっては相続人同士の合意形成が進まず、手続き全体が滞るケースもあります。こうした複雑な工程を10か月以内に終わらせるためには、専門家が全体の流れを整理し、期限内に必要書類を整えるサポートが不可欠です。

・財産の種類ごとの評価
・必要書類の洗い出し
・分割の方向性に応じた申告書作成
・期限管理

のすべてを一貫して支援することができる専門家チームの存在が欠かせません。特に不動産の評価や財産の見える化は、専門家の力を借りた方がよりスムーズになるでしょう。

申告を専門家チームに依頼するメリットは“抜け漏れ防止”と“家族調整の円滑化”

相続で問題が起こる原因として、「情報不足」や「手続きの抜け漏れ」があります。専門家チームに依頼するメリットは、この抜け漏れを防ぐ点にあります。

1. 評価の誤りを防ぐ

財産ごとに評価方法が異なるため、間違ったまま申告すると、あとで修正や追加納税が発生する可能性があります。税理士は評価に必要な資料の収集から照合まで行うため、一つ一つの財産が正確に扱われます。

2. 家族間の調整をサポート

遺産分割は相続人全員の合意が必要であり、全員の合意が得られない場合、申告が遅れる可能性があります。

専門家チームが関わることで、

・分割の方向性
・納税資金の確保方法
・手続きの優先順位

といった点が整理され、話し合いが進みやすくなります。

3. 申告後のフォローもできる

名義変更や管理の問題は、相続後にも続く場合があります。申告が終わった後も、専門家チームが手続きについて助言できるため、相続後の負担が軽減されます。

税理士や行政書士といった単体の士業に支援を依頼するのではなく、複数の士業の専門家チームに依頼することで、各士業の専門知識が発揮され、俯瞰してよりスムーズで最適化された相続が可能になります。

費用相場はどう考えればいい? ― 大切なのは“作業量と難易度”

相続税申告の負担は、「財産の種類・数」「相続人の関係性」「分割協議の進み具合」に左右されます。したがって費用相場を考える際は、金額よりも“作業量と難易度”を基準に考えることが重要でしょう。

相続の全体像として、次の要素が負担を大きくします。

・現金以外に不動産や事業用財産がある
・名義変更が必要な財産が多い
・相続人が多い、または連絡がつかない人がいる
・分割協議に時間がかかる
・財産調査に手間がかかる

こうしたケースでは、申告業務に必要な工数が増え、費用も高くなる傾向にあります。逆に、財産の種類が少ない場合や相続人間の合意形成が早い場合は、作業量が少なく、費用を抑えやすいといえるでしょう。

“費用の高さ”ではなく“リスク回避の価値”

相続手続きは期限を過ぎると特例が使えなくなるリスクや、管理放置によるトラブル発生の懸念があります。専門家チームに依頼する費用は、こうしたリスクを避けるための“保険”という位置づけで考えることもできます。

相続税の申告は、10か月以内に財産調査・評価・分割・申告のすべてを完了させる必要があり、家族だけで行うには負担が大きい作業です。

専門家に依頼することは、

・手続きの抜け漏れを防ぐ
・家族の調整を進める
・評価の誤りによるリスクを避ける

という観点から、相続をスムーズに進めるための大きなメリットがあります。費用は財産の種類や作業量によって変わりますが、大切なのは「何を任せるのか」「どこが難しい相続なのか」を把握することです。

相続の複雑さを見える化し、家族が安心して進められる体制を整えるためにも、専門家の関与は有効な選択肢といえるでしょう。

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