COLUMN
お役立ち情報
- 不動産
- 相続
家族の絆を守る相続の進め方 ― 相続専門家チームが伝えたいメッセージ（後編）
相続をめぐる課題は、財産の分け方にとどまりません。家族の暮らし方、地域との関わり、将来の不安、そして相続後も続く生活の視点を踏まえて検討する必要があります。書籍『相続家族会議のすすめ』の著者陣は、相続現場で支援を続ける中で、「相続は終わりではなく、次の世代の未来をつくる営み」であることを見つめてきました。本稿の後編では、地域に根ざした専門家が果たす役割と、持続可能な相続を実現するための視点をご紹介します。
地域に根ざした相続専門家チームが果たす役割
本書に登場する相続の専門家たちは、数多くの相続案件に関わりつつも、それぞれの事情に深く根ざした支援を行っています。
特に不動産は、地域によって評価や需要、売却のしやすさが大きく異なります。書籍にもあるとおり、都市部と地方では不動産の価値が大きく変わり、相続の結果に直結する場面が少なくありません。
地域を知る専門家は、
・その土地の評価傾向
・将来の活用可能性
・売却の現実性
・維持にかかる負担
といった「生活の実態」を踏まえたアドバイスができます。
著者陣が支援したケースの多くは、こうした“地域性に即した判断”が、家族の納得と安心感を支える要素になっています。制度の知識だけでなく、地域の土地勘と実務経験が、相続の成功には欠かせません。
相続は「生活のデザイン」の一部である
本稿後編でお伝えしたいのは、相続は単なる財産承継の話ではなく、家族の生活をどう続けていくかを考える機会だという点です。
・資産の管理負担
・老後の生活費
・子や孫の暮らし
・空き家の維持
など、相続をきっかけに「これからの生活設計」を見直すご家庭は多くあります。
たとえば、維持が難しい不動産をそのまま残すのではなく、事前に整理したり、活用の方向性を定めたりすることで、家族全体の負担を軽減できます。
財産をどう受け継ぐかだけでなく、「家族が無理なく安心して暮らせる状態をつくる」という視点こそ、著者陣が相続支援を通じて重視してきた考え方です。相続は“終わりの作業”ではなく、次の世代に向けた「暮らしのデザイン」の一部なのです。
相続専門家との継続的な関わりが、未来の安心につながる
書籍の終盤では、「一度決めた計画も見直すことが大切」と書かせていただきました。制度改正や家族構成の変化、不動産市況の変動など、状況は年月とともに確実に変わります。
私たちは、相続を短期的な相談で終えるのではなく、
・定期的なメンテナンス
・資産状況の見直し
・家族との再確認
を推奨しています。これは“不安をため込まない仕組み”とも言えます。
相続は一度決めれば終わりではなく、家族の変化に合わせて調整し続けるのが本来の姿です。その伴走役として専門家を活用することで、家族の負担は大きく軽減されます。
著者陣が現場で積み重ねてきた支援は、まさに「家族がこれからも安心して暮らせる状態づくり」を中心にしています。
相続の準備は、「家族の絆を守るための行動」。私たちが大切にしているのは、制度や対策のこと以上に「ご家族が互いを思いやる心」です。早めの対話、正しい情報、地域に根ざした専門家の支援。それらがそろうことで、安心して次の世代につなぐ相続が実現します。
書籍はこちら
