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認知症・未成年・消息不明の相続人がいるときの手続きとは?

相続手続きは、相続人全員が意思表示できることを前提に進められます。しかし、相続人の中に認知症の人や未成年者、連絡が取れない人がいる場合、話し合いが思うように進まないことがあります。こうした状況を想定せずに相続が始まると、手続きが止まり、家族の負担が大きくなりがちです。本稿では、意思表示が難しい相続人がいる場合に、どのような点に注意して相続を進めるべきかを整理します。
相続は「全員の意思確認」が前提になる
相続では、遺産分割を行うために相続人全員の合意が必要です。誰か一人でも意思表示ができない状態にあると、分割協議を成立させることができません。
認知症が進んでいる場合や、未成年で判断能力が十分でない場合、あるいは消息が分からない相続人がいる場合には、手続きがそこで止まってしまいます。
このようなケースでは、他の相続人だけで話を進めることはできず、結果として相続税申告や名義変更といった次の手続きにも影響が出ます。相続税の申告期限は限られているため、意思確認ができない状態が続くことは大きなリスクになります。
認知症・未成年・消息不明がもたらす現実的な問題
意思表示が難しい相続人がいると、次のような問題が起こりやすくなります。
まず、遺産分割の話し合いそのものが始められません。不動産の扱いや預貯金の分け方について意見をまとめる以前に、協議の前提条件が整わない状態になります。
また、相続人の状況を確認するための調査や手続きに時間がかかり、全体のスケジュールが後ろ倒しになります。
さらに、他の相続人にとっては
・「なぜ進まないのか分からない」
・「自分だけが負担を背負っているように感じる」
といった不満が生まれやすく、感情面での対立につながることもあります。
こうした問題は、相続が始まってから初めて認識されることが多く、準備不足が負担を増やす結果になります。
生前の準備が手続きを大きく左右する
認知症や未成年、消息不明といった状況は、相続が始まってから突然起こるものではありません。多くの場合、事前に兆しがあります。だからこそ、生前のうちに家族で状況を共有し、将来の相続を見据えて準備しておくことが重要です。
具体的には、
・相続人が誰になるのかを把握しておく
・誰が話し合いの中心になるのかを決めておく
・財産の内容を整理し、見える形にしておく
といった基本的な準備が、相続発生後の混乱を防ぎます。
また、家族会議を通じて「もし話し合いが難しくなったらどうするか」という視点を共有しておくことで、相続が始まった後の判断がしやすくなります。相続は制度の問題であると同時に、家族の関係性の問題でもあります。
認知症、未成年、消息不明の相続人がいる場合、相続手続きは想像以上に複雑になります。相続は全員の意思確認が前提であり、それができない状況では次の手続きに進めません。
重要なのは、相続が始まってから対応を考えるのではなく、生前の段階で状況を把握し、家族で共有しておくことです。準備ができていれば、手続きの遅れや家族間の不安を最小限に抑えることができます。
相続は、特別な家庭だけの問題ではありません。誰にでも起こり得る状況だからこそ、早めの整理と対話が、家族を守る力になります。
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