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共有名義の落とし穴 ― 相続後のトラブルを防ぐ持分整理術

相続で不動産を引き継ぐ際、「とりあえず共有名義にしておく」という判断がなされることがあります。いったんは公平に見えるこの方法ですが、時間が経つほど管理や意思決定が難しくなり、ご家族の負担や対立を生みやすくなります。共有名義は便利な解決策に見えて、将来のトラブルの入口になりがちです。本稿では、共有名義が抱える課題と、相続後に問題を大きくしないための考え方を整理します。

共有名義が選ばれやすい理由と、その背景

相続人が複数いる場合、不動産を分けることができず、共有名義という形が選ばれることがあります。

「誰か一人に決めきれない」「話し合いがまとまらない」といった事情から、当面の解決策として共有にするケースも少なくありません。

しかし、不動産は現金と違い、日常的な管理や将来の判断が必要になります。共有名義にすると、管理や処分の場面で関係者全員の意思が関わることになり、時間が経つほど調整が難しくなります。

相続が発生した直後は協力的だった関係でも、生活環境や価値観が変わるにつれて、同じ方向を向き続けることは簡単ではありません。共有名義は、そうした変化の影響を受けやすい形といえます。

共有名義が引き起こしやすいトラブル

共有名義の不動産では、「誰が管理するのか」「費用をどう負担するのか」といった問題が避けられません。

管理の負担が一部の人に偏ると、不満が蓄積されやすくなります。また、将来売却や活用を検討する際にも、全員の意見が一致しなければ前に進めません。

その結果、

・何も決められないまま時間が過ぎる
・老朽化が進み、資産価値が下がる
・次の相続でさらに権利関係が複雑になる

といった状況に陥ることがあります。

相続は一代で終わるものではありません。共有名義のまま次の世代へ引き継がれると、関係者がさらに増え、調整の難しさは一層大きくなります。

トラブルを防ぐために考えておきたい整理の視点

共有名義の問題を大きくしないために重要なのは、「共有にしたあと」を想定しておくことです。誰が管理を担うのか、将来どのような扱いを想定しているのかを、相続の段階で話し合っておく必要があります。

すぐに結論を出せない場合でも、

・管理の役割分担
・判断が必要になったときの進め方
・将来見直すタイミング

を共有しておくだけで、後の混乱は大きく減ります。

また、相続が発生する前に、不動産を誰が引き継ぐのが現実的なのかを家族で話しておくことも有効です。共有名義を避けることが目的ではなく、家族にとって無理のない形を選ぶことが重要です。

共有名義は、相続時の対立を一時的に避ける手段として選ばれることがありますが、将来の判断や管理の場面で大きな負担になることがあります。時間が経つほど関係者は増え、意思統一は難しくなります。

だからこそ、相続後ではなく、相続の前後で「この不動産をどう扱うのか」を整理しておくことが大切です。持分を分けることが公平とは限りません。家族が納得し、将来にわたって判断できる形を選ぶことが、トラブルを防ぐ最大のポイントです。

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